ハンセン病訴訟、政府の控訴断念と総理談話に疑問の声!地裁判決を強く批判しつつ「極めて異例の判断」を決めた安倍政権に、「選挙目当てでは」の声!

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どんなにゅーす?

・ハンセン病の元患者家族が国を相手取って提訴していた「ハンセン病家族訴訟」について、熊本地裁が国に対して計約3億7600万円の賠償命令を出したことについて、政府が控訴しない方針を決めたものの、安倍総理の談話や政府による声明文の内容に疑問を唱える声が噴出している。

・安倍総理は、談話の中で「患者・元患者とその家族の方々が強いられてきた苦痛と苦難に対し、政府として改めて深く反省し、心からおわび申し上げます。私も、家族の皆さまと直接お会いしてこの気持ちをお伝えしたいと考えています」と述べたものの、政府の声明では、地裁の判決について強い不満や批判を展開

・こうした政府側の”矛盾”に対し、ネット上では、安倍政権による「参院選に向けた、『国民に寄り添うフリ』のパフォーマンスでは?」との声が相次いでいる。

ハンセン病訴訟「深く反省、心からおわび」 首相談話

政府は12日の持ち回り閣議で、国の賠償責任を認めたハンセン病家族訴訟の熊本地裁判決への控訴見送りに関し、安倍晋三首相談話と政府声明を決定した。談話は「深く反省し、心からおわび申し上げる」と明記し、政府として初めて公式に家族へ謝罪した。今後は補償措置を法整備する。政府声明では判決の問題点を指摘した。

首相は談話で「直接お会いして気持ちを伝えたい」と表明し、元患者の家族と月内にも面会する意向を示した。菅義偉官房長官は記者会見で「具体的な日程は今後調整したい」と述べた。

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6月28日の熊本地裁判決は原告561人のうち、541人に国の責任を認め、国に計約3億7600万円を払うよう命じた。患者の隔離政策によってその家族に就学・就労の拒否などの被害が生じたなどと判断した。12日は控訴期限で、地裁判決が確定する。

【日経新聞 2019.7.12.】

安倍首相談話全文=ハンセン病訴訟

ハンセン病元患者家族訴訟の控訴見送りに関する安倍晋三首相談話の全文は次の通り。
本年6月28日の熊本地裁におけるハンセン病家族国家賠償請求訴訟判決について、私はハンセン病対策の歴史と、筆舌に尽くしがたい経験をされた患者・元患者の家族の皆さまのご労苦に思いを致し、極めて異例の判断ではありますが、あえて控訴を行わない旨の決定をいたしました。
この問題について、私は内閣総理大臣として、どのように責任を果たしていくべきか、どのような対応をとっていくべきか、真剣に検討を進めてまいりました。ハンセン病対策については、かつてとられた施設入所政策の下で、患者・元患者の皆さまのみならず家族の方々に対しても、社会において極めて厳しい偏見、差別が存在したことは厳然たる事実であります。この事実を深刻に受け止め、患者・元患者とその家族の方々が強いられてきた苦痛と苦難に対し、政府として改めて深く反省し、心からおわび申し上げます。私も、家族の皆さまと直接お会いしてこの気持ちをお伝えしたいと考えています。

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【時事通信 2019.7.12.】

ハンセン病訴訟に関する政府声明全文

ハンセン病訴訟の控訴見送りに関する政府声明全文は次の通り。
政府は、2019年6月28日の熊本地裁におけるハンセン病家族国家賠償請求訴訟判決(以下「本判決」という)に対しては、控訴しないという異例の判断をしましたが、この際、本判決には、次のような国家賠償法、民法の解釈の根幹に関わる法律上の問題点があることを当事者である政府の立場として明らかにするものです。

1.厚相(厚生労働相)、法相および文部相(文部科学相)の責任について
(1)熊本地裁2001年5月11日判決は、厚相の偏見差別を除去する措置を講じる等の義務違反の違法は、1996年のらい予防法廃止時をもって終了すると判示しており、本判決の各大臣に偏見差別を除去する措置を講じる義務があるとした時期は、これと齟齬(そご)しているため、受け入れることができません。
(2)偏見差別除去のためにいかなる方策を採るかについては、患者・元患者やその家族の実情に応じて柔軟に対応すべきものであることから、行政庁に政策的裁量が認められていますが、それを極端に狭く捉えており、適切な行政の執行に支障を来すことになります。また、人権啓発および教育については、公益上の見地に立って行われるものであり、個々人との関係で国家賠償法の法的義務を負うものではありません。

2.国会議員の責任について
国会議員の立法不作為が国家賠償法上違法となるのは、法律の規定または立法不作為が憲法上保障されまたは保護されている権利利益を合理的な理由なく制限するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などに限られます(最高裁2015年12月16日大法廷判決等)。本判決は、前記判例に該当するとまでは言えないにもかかわらず、らい予防法の隔離規定を廃止しなかった国会議員の立法不作為を違法としております。このような判断は、前記判例に反し、司法が法令の違憲審査権を超えて国会議員の活動を過度に制約することとなり、国家賠償法の解釈として認めることができません。

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【時事通信 2019.7.12.】

ハンセン病訴訟

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ハンセン病はらい菌によって引き起こされる感染症だが、感染力が著しく低く、殊に大人同士での伝染がほとんど見られない。また、潜伏期間が長く、適切な治療がなされずに病状が進行すると、皮膚や神経組織などを侵し相貌にも著しい病変を引き起こす。こうしたことから古い時代には、前世の悪業の報いによる業病であるなどとされた。

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寺院や宗教者らによる罹患(りかん)者救済の施設は古代から存在していたが、近代になると強引な隔離が行われるようになり、日本では1931年の「癩(らい)予防法」により、終身隔離・患者撲滅政策が強行された。新憲法下にあって治療法が確立されつつあった53年になっても、患者らの反対を尻目に強制隔離政策を永続・固定化する「らい予防法」が制定され、96年まで継続した。このような経緯や、社会的偏見、生活基盤の欠缺(けんけつ)などにより、すでに完治した千人以上もが全国13カ所の国立ハンセン病療養所に、現在も暮らしている。
こうした中で、人間としての尊厳の回復を目的として、鹿児島・熊本の療養所入所者13人が98年に国家賠償請求訴訟を起こした。これをきっかけに、国の謝罪、賠償や対策、真相究明を求める動きが広がり、数次にわたる各地の訴訟を合わせ、原告団779人を数える大規模なものとなった。2001年5月の判決は、このうち1次の13人を含む4次までの127人分。地裁判決に対して国側は控訴を断念、01年6月には衆参両院でそれぞれ謝罪決議が採択された。また、同月にはハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律が施行され、生存者には入所時期により800万円から1400万円までの4段階で補償金が支払われる。

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【コトバンク】

「政府として改めて深く反省し、心からおわび申し上げます」言いつつ、地裁判決に強い不満と批判を露わに!”二重人格”のような政府対応に批判の声!

ハンセン病家族訴訟において、原告への賠償命令を命じた地裁判決に対して控訴しないことを決めた安倍政権ですが、その対応の「不可解さ」に対して疑問や批判の声が上がっています。
確かに、安倍総理が談話で「政府として改めて深く反省し、心からおわび申し上げます」と言っていますが、その一方で、政府声明においてあからさまに、地裁判決に対して強う不満と批判を展開しており、まるで”二重人格”のように矛盾した態度を見せていますね。

この「国側の控訴断念」のニュースをテレビで観ていて、「あの安倍政権が、一体どういう風の吹き回しだろう」と思っていたけど、よくよく詳細を確認してみると、なるほど、いかにも安倍政権らしい対応だったね。
選挙対策のための点数稼ぎのパフォーマンスなのかどうかはよくわからないけど、「今回だけは特別に控訴を見送ってやるぞ」と言わんばかりの、あまりにも恩着せがましい態度だし、原告団や国民側からすれば、まるですっきりしない解決の仕方だ。

国側の責任を明確に認めた上で、判決を謙虚に受け止める対応を示したのであれば、今回の控訴取りやめについて一定の評価をしてもいいかと思うけど、あからさまに司法の判決を非難した上で、「極めて異例の対応」なんて偉そうに言っている時点で、これは三権分立を脅かしかねない「危うい動き」であり、歴代政権で例を見なかったほどに国会や司法を軽視しては独裁色を強めつつある、「安倍政権の本質」をよく表した対応ともいえるだろう。

しかも、ようやくご家族への賠償が確定したものの、この先、様々な手続きやプロセスが必要となるのは確実で、彼らに賠償金が支払われるには、まだまだ長い時間が必要になるものと思われます。

ハンセン病における歴史を紐解くと、日本や世界において、古くから想像を超えるほどの悲惨な迫害や人権侵害が行われてきたことがよくわかる。
現に、日本においても、ようやく国側が賠償責任を負うことを渋々認めたわけで、現代においてもなお、元患者や家族が深刻な差別を受け続けている実態があることを知る必要があるだろう。

ハンセン病家族訴訟における「一定の区切り」がついたことそのものについては評価をしたいですし、ようやく、被害を受けた方々の名誉回復への「長い道のりの第一歩」を踏み出すことになったといえそうです。

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