こんにちは、ゆるねとにゅーす管理人です。
前の記事で記してきたように、2年半ほど前から体調を崩し始めて以降、「悪性リンパ腫の疑い」診断より1年9ヶ月、「ステージ5の確定診断」より5ヶ月間戦ってきたエレナが、10月26日夜、ついにその壮絶な闘病を終え、空に旅立っていきました(享年15歳8ヶ月)。
臨終後、しめやかに火葬され、綺麗なお骨になったエレナは、現在、いつも寝ていた一室で安らかに眠っております。
15年間エレナとともに過ごした経験や今回直面した一連の出来事は、ボク自身、生き物の「生と死」や、犬や猫が持っている「心」について、とても大きく考えさせられたと同時に、飼い主の「ペットの死」との向き合い方や、人とペットとのあるべき姿、日本のペット社会の現状などについても、様々な思いを馳せることとなりました。
自分自身が感じたことをどこまで皆さまにお伝えすることが出来るか分かりませんが、この度、出来る限り現在の心境を飾ることなくそのまま綴ることで、これらの現在のペット社会の現状や見えざる側面について、何かを感じていただければ…との思いにより、この度エレナの一連の闘病記について、後日談を含めた最後の記事を綴らせていただきたいと思います。
現在ペットを飼っていらっしゃる方、病を抱えたワンニャンとともに生活している方にとっては少々お辛い内容が含まれているかもしれませんが、何卒ご了承いただいた上でお読みくださいますよう、お願いいたします。
↓元気だった頃の若かりしエレナの姿(6歳くらい?)より。
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冷たくなったエレナをお棺に移し、ペット専門の出張葬儀業者に連絡
前の記事に綴ったとおりに、2年半にもわたる病魔との戦いを終え、息を引き取ったばかりのエレナを母とともに抱え上げ、あらかじめインターネット通販で購入しておいたお棺に移した。
息を引き取ってから数十分ほどで死後硬直が始まり、自由に身体を曲げることが出来なくなってしまうことをネット上で調べておいたので、すぐにお棺の中で綺麗な姿勢に変えようと、手足を曲げ、開いていた目を閉じてあげた。
死後に体液が流出するとの情報も出ていたために、お棺の底にはタオルを3重くらいに敷き、その上に吸水シートを重ねて敷いた。
やはり、しばらくすると、最期の際に口から溢れ出てきた吐瀉物がさらに流出し、その後血液も口から流れ出てきたので、事前にこれらの情報を調べておいて本当に良かった。
すぐに遺体が悪くなり、腐敗が始まるとの情報も見たので、あらかじめ買っておいた氷や保冷剤を遺体の周りに敷き詰める。
ただし、紙製(段ボール)の棺の場合、結露や溶けた氷の水分で濡れてしまうと、強度が大きく落ちてしまい、出棺の際には底が抜けかねないので、棺が濡れないようにタオルやビニールなどで対策を講じておくのがいいだろう(ボクの場合、これが不十分だったために、ボール紙製の棺の強度が落ち、出棺の際に気を遣うことになってしまった。)。
葬儀業者についてもあらかじめネットで調べており、当時に直感的に価格やサービスなどが良心的だと感じた業者に電話で連絡した。
24時間対応で、さまざまな環境や要望に応えてくれる葬儀屋さんで、とても丁寧な電話対応により、翌日(10月27日)の夜8時半からの葬儀を設定した。
すっかり全身が石のように硬く冷たくなったエレナの亡骸を見て、一晩中妹は泣き続けていた。
ボクと母はその最期を見届けたが、妹は仕事でエレナの死に目に立ち会えなかった。
しかし、おそらく、妹があのエレナの壮絶な最期を見たら、ただでさえ、とても繊細で感受性が豊かな妹がどうなってしまっていたか分からない。
…
エレナが亡くなる直前、母が仕事から帰り、母からの呼びかけに大きく反応したエレナは、最後の「生への執着」を見せた。
恐らく脳が完全に麻痺し、意識が完全に混濁した中で、自力で半身を起こし、ボクや母に向かって「にゃあ!」と力強く声を上げたのだった。
多少しわがれ、上ずってはいたものの、15年間毎日聞き続けてきた「ご飯ちょうだい!」の声と全く同じだった。
そんなエレナの要求を聞いたボクと母は、(少しでもその症状が緩和される可能性を信じて)常用しているステロイドをカプセルに詰め、それを忍ばせたご飯を慌ててエレナの目の前に差し出した。
食べようとする意思を見せながらも、横になって姿勢が悪いせいか、口を開けることが出来ないエレナの身体を起こそうと母が抱き上げたときに、驚くほどに全身が伸びきったゴムのようにグニャグニャになっていたことで、ようやく、さっきのは、すでに”向こうの世界”に連れられかかっていたエレナが最後の力を振り絞って出した、「生への最後の執念」と「家族へのお礼と挨拶」だったことを理解した。
そのエレナの”死”に対する「最後の抵抗」からものの数分後、エレナは、最後の「引導を渡す」かのように、容赦なくこみ上げてきた吐瀉物に呼吸を奪われ、しばしの格闘の中、その息が完全に止まった。
そんなエレナの壮絶な最期の姿は、今でもボクの脳裏に焼き付いているし、今も何かの拍子に、その姿が何度もフラッシュバックされる。
妹が帰宅する前に息を引き取ったエレナは、きっと、妹にはその姿を見せたくなかったのだろうと思うし、エレナなりの精一杯の妹への気遣いだったのだと思う。
その痛ましい最期からは考えられないくらいに安らかな顔で眠るエレナに、ボクも妹も、何度となく優しくなで、労いと感謝の言葉をかけ続けた。
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かかりつけの病院に菓子折を持って挨拶、そして、葬儀屋さんを出迎え、最後のお別れへ
エレナが息を引き取った翌日の夕方、近所の菓子店で菓子折を購入。エレナ逝去の報告と長年診てもらったお礼を伝えるために、かかりつけの病院に向かった。
その知らせを聞いた先生は、とっさに驚くような反応を見せ、その後すぐにとても悲しそうな顔をした。
見た感じボクと同年代で、普段より口数が少なく、いささか不器用な方だったが、やはり先生なりにエレナのことを案じ、出来る範囲で尽くされていたのだなあと感じた。
亡くなる前日の診察を終え、自宅戻ってから翌日の夜にエレナが亡くなるまでの経緯を話したところ、「お話を聞く限り、脳にも腫瘍が出来ていたのかもしれない」と先生は言った。
確かに最近、やや認知症のような行動がみられたこと、トイレの失敗回数が急に増えてきていたこと、上手く真っ直ぐ歩けなくなってきていたこと、亡くなる当日には度重なる痙攣の末に、最後は完全に全身が麻痺しているように見えたことを考えると、そうだったのかもしれない。
病院から戻った後の午後8時半頃、時間通りに葬儀屋さんがやってきた。
とても物腰の柔らかく物静かな雰囲気の、見た感じ60代前半くらいの男性が一人でやってきた。
どのような形で葬儀を行なうのか、色々と気になっていたが、遺体を火葬する炉と一体化させた車をスペースのある場所に駐め、電源を引いた上で火葬するとのこと。
車を駐めるスペースもあり、電源もあることから、自宅のガレージで火葬を行なうこととした。
エレナが入っているお棺を家族の手で運び出し、炉を開け、荼毘に付す時がやってきた。
妹が買ってきていた花をエレナにたむけ、葬儀屋さんと家族全員で手を合わせる。
妹はすでに涙で顔をくしゃくしゃにしている。ボクもエレナとの15年もの様々な思い出が多くよぎり、思わず胸が一杯になる。
家族からの精一杯の労いと感謝の言葉を受けながら、エレナの肉体は炉の中で消えていった。
1時間半くらい、自宅内で夕飯を食べるなどして待機していた中、つつがなく火葬が終わり、再び炉が開けられた。
葬儀屋さんが驚くほどの、実にしっかりとした骨が残されていた。
葬儀屋さん曰く、通常、猫や犬は8歳くらいをピークに骨の強度が徐々に弱まってくるために、15歳でここまで立派なお骨が残されていることは滅多にないとのことだった。
手足の骨も平均よりもかなり長く、犬用の骨壺でも全ての骨が収まらないほどだった。
葬儀屋さんから丁寧に各所のパーツについての説明を受けながら、家族みんなでエレナの骨を拾った。
様々な思い出や悲しみが交錯しながら、家族一人一人順番にエレナの骨を拾う。
その間、葬儀屋さんは、「犬や猫は自由に飼い主を選ぶことができない」こと、「どれだけ人間の身勝手さなどによって不幸な道をたどってしまう犬猫がたくさんいるのか」、「どれだけエレナが深い愛情をボクたちから受け続けながら”幸せな猫生”を送ることが出来たのか」…ということを切々とボクや妹に語り続けた。
思わず驚いてしまうような、実際に依頼があった数々の事例や詳しい統計データなどを挙げながら、犬や猫の命を、使い捨ての「モノ同然」に扱う、心ない人間が多数いる一方で、我が子同然のように深い愛情を持ちながら大切に育て、その死に深く悲しみ、多くの涙を流す人もいる現実を教えてもらった。
その話ぶりから、この葬儀屋さんは、タダのお金儲けではなく、多くの動物の生命を人と同じように大切に扱い、その死を深く悼む人々の役に立つべく、この仕事をしていることが伝わってきた。
葬儀屋さんのそうした思いが込められた話と、エレナと家族を慮る気持ちに、妹はますます涙が止まらなくなっていた。
そんなくしゃくしゃになっている妹に対し、彼は何度も「大丈夫?」と優しく声をかけ、気遣い続けていた。
無事に納骨の儀式も終え、夜23時過ぎ頃、エレナの葬儀が全て終了した。
エレナの具合が悪くなった時期に、ペットの葬儀についてインターネットで調べたところ、最も良心的な価格でサービスも良いように直感的に感じたのが、この葬儀屋さんだったが、小さな会社ながら、想像以上にとても対応の行き届いた、温かい雰囲気を持った葬儀屋さんだった。
ここにお願いし、エレナをこんなに丁寧に送り出してもらえて、本当に良かった。
思えば、慌ててお棺をネット上で注文したのも、葬儀屋の情報をネットで調べたのも、急激に元気が落ちてきていた中でリンパ腫の末期診断を下された5月の半ばだったのだ。
改めて、エレナがどれだけ奇跡の頑張りを見せ、何度も死の淵から這い上がり、たくましい生命力と生への強い欲求を見せ続けてくれたのかが実感される。
やはり、エレナは本当に強い星に生まれ、不思議な巡り合わせや強運を引き寄せ、我が家にやってきた猫だったのだ。
このようなペット専門の葬儀サービスが出てくる以前は、なんと、犬や猫などの動物の遺体は、「粗大ゴミ」として、他の生ゴミとともに焼却されるような扱いだったとのこと。
最近ではようやく、自治体がペットの墓地を紹介する形で、他の多くの犬猫の遺体とともに共同で火葬し、墓地に一括埋葬されるケースが増えてきているものの、まだまだ、今回依頼したような人間に近い形で個別に火葬・納骨する形の葬儀サービスは多く普及してはいないようだ。
改めて、人間とペットとのあり方、生命の重さ、そして近代社会におけるペットとの付き合い方などについて、図らずも色々と考えさせられることとなった。
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エレナとの別れから早1週間、現在は…
↓簡易的に作ったエレナの祭壇。近々もう少し立派にして、家族全員でお別れ会を行なう予定。
エレナが旅立ってから、気がつけば1週間がたった。
今も、ひょんな瞬間にエレナの気配を錯覚していまうことが多くあるし、毎晩眠る前には、過去のエレナとの生活(毎日一緒に寝たことや、たくさん遊んだり、いつもボクに喉を大きく鳴らしながら甘えてきたことetc.)を思い出すことも多く、なんとも言えない寂しさや、「もっとあの時こうしておけば…」などの後悔の念など、ついつい多くの思いが交錯する。
妹はもう少し完全に立ち直るまでに時間がかかるかもしれないが、ボクはそんな中でもようやく徐々に現実を受け入れ、生活ペースも元に戻りつつある。
葬儀屋さんがしてくれた話によると、現在人に飼われている犬や猫は、人間の子供よりも数が多いのだという。
今やペットと人間との距離が縮まりつつある中、犬や猫と人間は、どのようにつきあえばいいのだろうか。
そして、必ずやってくる深く愛情を注ぎ続けた「ペットとの死」にどのように向き合ったらいいのだろうか。
今から15年前、妹の高校時代の友人の家の近所で「子猫が生まれた」との知らせが届いたことで、多くの不思議な偶然の巡り合わせにより、うちにやってきたエレナ。
3匹きょうだいの中から妹がエレナを選んでいなかったら、エレナは野良として生きることとなり、恐らく10年以上も前に事故や病気、保健所への苦情などで人知れずに亡くなっていた可能性が高いだろう。
多くのことを考えさせられ、いまだにその確たる答えは出ていないものの、都会で暮らしながら厄介者扱いされている野良猫の実情や、飼っていた犬猫が捨てられ、殺処分されている数を葬儀屋さんから教えてもらい、もっと多くの人々が真剣に考え、向き合うべき問題であることは間違いないと感じた。
エレナを見ていても痛いほどに感じていたが、犬や猫も感情があり、意思もあり、喜びや痛みや苦しみや悲しみも感じるし、むしろそれは人間以上に繊細で深いのである。
どうか、そんなあまりにも純粋で汚れのない「心」を持っている犬や猫たちが、少しでも幸せで穏やかな一生を送ることができる社会が訪れることを、ただ願うばかりである。
そして、肉体は無くなってしまったものの、家族の記憶の中でずっと生き続けるエレナに対し、生きていた頃以上の深い愛情や感謝の気持ちを感じている、今日この頃である。
……
…エレナちゃん、ちょっと辛そうな最期だったけど、雲の上でたくさん元気に走り回っているかにゃ?
そして、エレナちゃんを人一倍可愛がっていた妹さんが心配だにゃ。
にゃこちゃん、心配してくれてありがとう。
妹もきっと、徐々にこの別れを乗り越えて、人としてもう一回りも大きく強くなっていくんじゃないかな。
大事な友人やお世話になった人たちからも多くのメッセージが届いたし、こんなに多くの人たちに愛されていたエレナは本当に幸せ者だし、エレナはこれからもボクにとっての最高の息子だよ。
そっか!ほんとにエレナちゃんは、人(猫)一倍強い星の下に生まれた猫ちゃんだったんだにゃ!
ワンちゃんの骨壺にも入りきらないくらいに立派な骨格を持ってたのもビックリだし、これからもエレナちゃんはみんなの記憶の中で生き続けるんだにゃ!
葬儀屋さんも教えてくれたように、ペットを取り巻く諸事情は中々に複雑な側面があり、一朝一夕で解決できない難しい問題を抱えているのは確かだ。
どうか、現在愛犬・愛猫を飼っている飼い主さんをはじめ、多くの人たちが少しでも犬や猫たちのことをより深く理解し、人間の身勝手な欲望や都合によって、一匹でも不幸な道をたどってしまう犬猫が減っていく状況に向かっていくことを強く願っているよ。
今回15年間エレナと過ごした経験によって、本当にたくさんのことを学ばせてもらったし、この経験を是非とも活かして、これからも様々な情報発信を通じて、多くのワンちゃん猫ちゃんや飼い主さんのお役に立てていければと思っているよ!
(最後まで読んでいただき、ありがとうございました!)
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