(コラム20回)
どんなにゅーす?
・DeNAが運営するまとめサイト(キュレーションサイト)問題について、2016年12月7日午後、南場智子会長、守安功社長らが謝罪会見を開き、同社の関連サイトを全て非公開にすることを発表。
・この騒動が大きくなったことで、他社のキュレーションサイトにも影響が波及。リクルートが運営するサイトも一部非公開になるなど、その影響が広がりつつある。
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DeNA医療系サイト「炎上」で休止…検索「誘導」過熱
内容二の次…良質情報押しのけ「上位」に
大手IT企業ディー・エヌ・エー(DeNA)が、運営する10のキュレーションサイトのうち9サイトのサービスを停止した。きっかけとなったのは、このうちの一つ、医療系まとめサイト「WELQ(ウェルク)」で、科学的根拠に欠ける記事や無断転用が次々と発覚したことだった。
こんにちは。ゆるねとにゅーす管理人です。
現在、ネット上だけでなく、テレビや新聞でも積極的に取り沙汰されているDeNAによるまとめサイト問題について、この記事では、大まかな騒動の概要と、この騒動で最も問題とされていることについて、そして、DeNAなどの大手ネット企業が以前より包含してきていた問題点などについて、出来る限り噛み砕いて紹介していければと思っているよ。
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はじめに…まとめサイト(キュレーションサイト)とは?
今回の報道で盛んに飛び交っている「まとめサイト(キュレーションサイト)」とは、簡単に言うと、ネット上に存在している情報を色々と寄せ集めてきて、これを一つの記事の形で紹介する形態のサイトのことで、今回問題になっているDeNAが運営するWELQやiemo、MERYなど10サイトの他、LINEが運営しているNAVERまとめなどが知られている。
ちなみに、保守速報やハムスター速報など、2ちゃんねる系のまとめサイトも広義的にはこれに含まれるかもしれないけど、これらは報道記事や掲示板のコメントなど、ほぼ完全なコピペ(引用)だけで埋め尽くされているのに対して、前者の方はライターがオリジナルの文章を付け加えており、引用に加えてオリジナル文章、そしてリライトなどの要素が入っているので、この両者は少し性質が異なっているものかと思われる。
報道でしきりに問題視されていることについて
今回のDeNAによる炎上騒ぎについて、多くのマスメディアで報道されている「問題とされている点」について、一見したところ、(簡単にまとめると)以下のような点が多く報じられているようだ。
・医療・美容関連において、科学的根拠に乏しい記事を多く掲載していた。
・記事に使用していた画像について、個人が撮影した写真などの無断使用が多数存在していた。
・過度なSEO対策(検索エンジン最適化)を行ない、アクセスを独占し、多大な収益を上げていた。
・・・確かに、これらについては、ボクもあまり良いことではないように感じているけど…ぶっちゃけて言うと、これはDeNAに限らず、その他多数のネットメディアでも日常的に行なわれているのが現状だ。
特にネット上の画像の引用については、法的に見ると実質「グレーゾーン」に当たり、(うちでもそのような対応を取っているけど)画像を引用する場合、出典のリンクを細かく貼ることで、引用元のサイトにアクセスを流したり、画像掲載不可の連絡をもらった際には素早く画像を削除する…などの対応を取っているところが多いようだ。
これらのグレーゾーンを全て規制するとなると、恐らく(大手マスメディア以外の)ネット上の大多数の情報サイトが閉鎖に追い込まれていく可能性が高いし、また、画像の引用や(まとめサイトで必須の要素である)記事の引用などを厳密に規制することによって、ここから表現や言論の自由が縮小していくことにも繋がり、最終的にはインターネットの特性が活かされないばかりか、より多様かつ有用な情報を手にしたいユーザーの利便性を損なうことにも繋がるだろう。
よって、このような点をしきりにメディアが取り上げていることについては、ボクはいささか違和感を感じているのは確かだ。
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それでは、DeNAは何が一番問題だったのか?
それでは、DeNAは一体何が一番問題だったのか?ということだけど、ボクは「以下の点」だったものと考えるよ。
「死にたい」などの、自殺関連のキーワード検索をした人をターゲットに、アフィリエイトに誘導する記事を配信していた
ネット上の情報によると、DeNAは、同社が所有していたまとめサイト「WELQ」において、「死にたい」「自殺」など、自らの命を絶つことを考えている人が検索しそうなキーワードにおいて、検索エンジンで1位になるようにSEO対策を徹底的に施していた上で、根拠に乏しい解決法を提示し、「自殺を思いとどまるのには”自己分析”が有効」としつつ、記事の最後にDeNA側に報酬が入るアフィリエイトリンク(就活サイトの自己分析テストのページ)に誘導する手口を使っていたということだ。
↓記事の下にリンクが貼られている他社の就活サイトに登録してもらうことで、DeNAに収益が入る仕組み。
出典:Twitter(@tsuj)
一般的に、ビジネスというのは、より切羽詰っている人、必要に迫られている人を相手にするほど、成約に結びつきやすいことはよく知られているけど、このケースは、自らの命を絶ってしまう寸前の、極度のうつ状態や人生に絶望視し、精神的に追い込まれている人を標的に、科学的に根拠のない情報を提示した後に、会員登録に誘導。これにより大きな収益を上げていたことが一部の人から指摘され、これをきっかけに批判や騒動が大きくなっていったのが、実際のところのようだ。
確かに、これは一般的なモラルや暗黙のルールを逸脱したような、手段を選ばない少々悪質なビジネスモデルだとも言え、ボクもこのようなやり方は「一線を越えている」ように感じる。
つまり、こうした精神的に追い込まれている人を食い物にしたビジネス手法が一部で批判され、ここからその他の(他社でも見られるような)小さな問題が次々と取り沙汰され、積み上げられていったことで、現在に至るほどの大炎上に繋がったと見るのがいいかと思うよ。
大量の記事を所有していることが検索サイトの上位表示に繋がることから、「超安価」で外部ライターに記事作成を大量発注
これはボク自身も以前からよく知っていて、かなり問題視していたんだけど…DeNAは、その資金力と規模をいいことに、クラウドソーシングサイト(在宅ワークサイト)と提携し、大量にライターを募集し、一般の時給や相場と比べてもかなりの安価でライターに大量の記事を書かせることで、検索エンジンに上位表示させることを行なっていた。
(さらには、「月収20万も夢ではない!」など、誇大広告に近いような求人内容で多くの提携サイトで求人を出していた。)
本来であれば、記事に一定以上のクオリティを求めるなら、せめて一般の仕事の時給レベルくらいの報酬は支払うべきだと思うけど…これらDeNAを筆頭にした最大手が単価を引き下げることで、ウェブライター界全体の報酬がどんどん下落傾向となり、これだけでは到底生活できない水準にまで下がってきていたことで、有能な人材がどんどん離れていく事態が発生。
これがウェブに出回る記事の質の低下を招き、今回のような騒動に繋がったものと考える。
特にDeNAを筆頭とするキュレーションサイトの待遇は最悪レベルで、本来下層のライターに分配すべき利益をピラミッドの上にいる人間たちが独占していた実態がうかがえる。
そこに、モラルや暗黙のルールをも逸脱した、読者の有益性よりも自身の金儲けを主体とした質の低いサイトを大量に所有することで、検索上位を独占していた実態が重なったことで、ここまでの炎上騒ぎに発展したものと考えているよ。
大手マスメディアは、自分たちの「牙城」を侵し始めているキュレーションサイトや個人メディアを敵対視している
こうしたDeNAのビジネスモデルは、読者側・ライター側ともに利益を毀損させている点でかなり問題のあるものだと思うけど、大手メディアによる報道内容を俯瞰していて、どうも、その奥底に、近年アクセスを集めつつあるキュレーションサイトや中小のネットメディアをけん制し、これら全体を「根拠に乏しい情報を大量に載せている悪」として、弱体化させようとしている意図が報道に含まれているように感じる。
つまり、今回のDeNAの炎上をきっかけに、画像の使用規制や引用の規制などの機運を作る方向に持っていく(すり替えていく)ことで、1次情報の大手メディアのニュースなどを元に独自の評論を行なっているようなネットメディア全体の活動を制限させ、大手メディアのかつての影響力と利益を取り戻そうとしている「思惑」が働いているようにも感じられる、ということだ。
よって、今回のDeNAの騒動について、雑多な情報が飛び交っている中で、「今回の件において”何”が最も問題なのか」という視点を持つことが、今後のインターネット情報界の健全化と、ユーザーの有益性の向上に繋がるのではと考えているよ。
まとめ
管理人さん。
DeNAの一連の問題、私には詳しいことや何が問題だったのかなどが、よく理解できない部分があったんだけど…お陰でとってもよく分かったわ!
つまりは、命を絶つ寸前に陥っているほどに精神的にボロボロになってしまっている人をも「金儲けのターゲット」として捉えて、科学的根拠に乏しい自分たちに都合の良い情報を羅列させた上で、提携企業のサイトに会員登録させることで、自分たちも大量にお金儲けしていた(そこまでなりふり構わない”悪徳ビジネス”を展開していた)ことが、ここまで炎上した「原点」ってことね。
そして、(これはDeNAだけのせいではないけど)異常に安い賃金でライターに大量の記事を書かせていた「風潮」が業界全体に波及してしまったことで、検索上位にこれらのやや粗悪な記事が独占されてしまい、インターネット界全体の記事の質の低下が連鎖的に起こってしまっていたってことだ。
以前からボクも、DeNAの「ブラック体質」をかなり問題視してきたけど、これを機にウェブライターの待遇面を含め、ネットメディア界全体が健全化してくれればいいんだけどね…。
そして、大手のマスコミ側も、「一定の思惑」を持ちつつこの件を報道をしている気もするけど、大手のマスコミとは一線を画した視点や、しがらみや権力の意向のかからない独自の立場から記事を配信している情報サイトもろとも粛清されることで、ネットメディア全体が萎縮していくことに繋がるような事態は避けなければならないと思っている。
そういう意味では、キュレーションサイトも一定の有用性を持ち合わせているものだと思うし、つまり、情報発信者それぞれが一定のモラルを持ちつつ、「読者にとって有用な記事を配信する」という共通の意識を持ちながら、真面目に記事を配信していくことが大事なのではないだろうか。
今回のDeNAを巡る一連の騒動の行方を見守りつつ、ボクもこうした「原点」を見失わないようにしながら、改めて情報発信者として謙虚な意識を持ちつつ、今後も読者の皆さんにとってお役に立てるような記事の量産を目指して、頑張って執筆を続けていこうかと思っているよ。
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