どんなにゅーす?
・2017年12月31日に放送された、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル!」(日本テレビ)が、海外メディアで大々的に報じられるなど、国際的に問題視される事態になっている。
・問題になっているのは、浜田雅功がアメリカの俳優エディ・マーフィーの真似をして、顔を真っ黒く塗った状態でお笑いパフォーマンスを行なうシーンで、19世紀に米国で盛んに行なわれ、後に黒人差別として社会問題になった「ミンストレル・ショー」を彷彿とさせるなどの批判が相次いでいる。
・さらに、タレントのベッキーに対し、「不倫の禊ぎ」と称して強烈なタイキックを浴びせるシーンに対しても批判が噴出。痛がるベッキーに周りが爆笑している画に対し、「見ていて不快」「弱いものいじめを想起させる」などのコメントが多く寄せられている。
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ダウンタウン『笑ってはいけない』擁護の嘘! 浜田雅功の黒塗りは米で問題になったミンストレル・ショーと同じだ
今回のテーマは「アメリカンポリス」ということで、メンバーはアメリカの警察官を模した衣装に着がえて企画に望むのだが、浜田雅功だけが『ビバリーヒルズ・コップ』のエディ・マーフィーのコスプレということで、デトロイト・ライオンズのスタジャンを着込み、顔を黒塗りにした状態で番組に参加した。
これに対し、ツイッター上ではすぐさま「ブラックフェイスをやらかすなんて」「これは笑えない」と批判が殺到。さらに、日本在住の作家バイエ・マクニールが〈2020年オリンピックで黒人アスリートのためにブラックフェイスのドゥーワップをやらかすんじゃないかって真剣に不安だ。いますぐやめろお願いします〉とツイートした。
さらにここに来て、イギリスBBCやアメリカのニューヨークタイムズも報じるなど、ガキ使ブラックフェイス問題は国際的にも大きな批判を浴びている。
この主張は当然だろう。顔を黒塗りにすることのなにがいけないのか? それは、黒人差別の歴史において、顔を黒く塗り、パフォーマンスするという行為は特別な意味をもつものだからだ。
19世紀、アメリカで流行した「ミンストレル・ショー」と呼ばれる大衆演劇がある。黒人差別と表現の問題を論じた『『ちびくろサンボ』絶版を考える』(径書房)によると、このミンストレル・ショーは〈黒人の無知や無知から来ると思われていた明るさを笑いものにした〉芸風で、〈二十世紀の中頃のテレビ・映画のなかの黒人イメージにまで色濃く影響を及ぼしたと言われる〉ものだ。
〈当初は白人が顔を黒く塗り黒人奴隷の服装をして、黒人の「愚行」を演じていたが、それはあくまで白人が望んだ範囲での黒人の愚かしさであったり、白人の主人への忠実な奴隷像だったりした。またこの中で唄われる「ニグロ・ソング」も、同様に当初は白人の想像上の産物であって、黒人の実際の心情を反映されたものではなかった〉(同上)
黒人は無知で、それゆえに明るく能天気である──そのような偏見に満ちた黒人像を反映したキャラクターを、白人が顔を黒塗りにしたうえで演じ観客たちを笑わせる。それがミンストレル・ショーであった。このような表現を成り立たせていた背景に、黒人を奴隷として強制労働させ人間として扱わなかった、アメリカの負の歴史があることは言うまでもない。
~省略~
ダウンタウン、ココリコ、月亭方正と違い、ゲストとして出演したベッキーはタイキックを受ける対象ではないのだが、「ベッキー 禊のタイキック」と題したドッキリが行われ、ベッキーは身体を押さえつけられたうえ、芸人たちと同様の強烈なタイキックを受けたのだ。
不倫の「禊」という名の下に暴力をふるう。これはまるで姦通罪、不倫をした女性を石打ちによる死刑に処す一部のイスラム国家と同じ発想ではないか。
これについても、「ベッキーに自虐ネタをやらせることで、タレントイメージの復活を手助けするもの」などという擁護の意見が聞こえているが、仮にベッキーにとってプラスになったとしても(騒動がひと段落した時期にこんなパフォーマンスをしてベッキーにプラスがあるとも思えないが)、彼女がそのような扱いを受けるのがテレビで放映されるのは、確実に「不倫に関わった女性は暴力を受けても仕方がない」という価値観を拡散することになる。
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A Japanese comedian is facing criticism for performing in blackface in a widely viewed TV show https://t.co/bTRotoJrcw
— The New York Times (@nytimes) 2018年1月4日
BBCニュース – 日本の大晦日お笑い番組で黒塗りメイク 怒りと反発も https://t.co/mniHX0CvZV pic.twitter.com/2H3ncUXccU
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) 2018年1月5日
浜田雅功さん:顔面黒塗りに批判 米紙報道「人種差別」 – 毎日新聞 https://t.co/rvfvkGCjGr
— futsugou_emiko (@e_miko029) 2018年1月6日
ついにBBCにまで。日本の民度の低さを指摘する海外報道がずっと続いています。でも、ほんとうなので反論できない。 https://t.co/QbhZb5zkzH
— 内田樹 (@levinassien) 2018年1月5日
ブラックフェイスに対して「そんな考えを持つ人こそ逆に人種差別だ」という定番の主張を見掛けたが、あれが厳禁なのはミンストレルショーなど歴史的な黒人への差別意識を象徴しているから。
それは”考え”ではなくて”知識”
意図せず差別に加担してしまう事があるから、人生常に学び続けたいですね。— Eva (@evaeva61979707) 2017年12月31日
「黒塗りはアフリカ系への差別じゃない」という反発は差別の正当化です。日本にアフリカ系への差別があるからこそ、正当化としての反発がある。「あれをやり続けたい」からこそ反発する。
— 丹菊逸治 (@itangiku) 2018年1月5日
ダルビッシュの件も記憶に新しいけど、#ブラックフェイス から始まって「ティファニーで朝食を」の話題が出てたので、第二次世界大戦中の反日プロパカンダに描かれた日本人像をあげておきます。 pic.twitter.com/gHOOaIqWYW
— KO_SLANG (@KO_SLANG) 2018年1月5日
まぁ、おれも人のこと言えない部分はたくさんあるんだけど、差別の意図があろうとなかろと、「自分が人にされて嫌なことは他人にするな」って、おれは父さんに子供の頃さんざん怒られたよ。
セルビア女子バレー選手が日本人差別か 「つり目」ポーズで記念写真、連盟が削除 https://t.co/z23gMpL7Eq pic.twitter.com/DrTRNnuQtU
— KO_SLANG (@KO_SLANG) 2018年1月5日
第二次世界大戦の時に日本人を人殺しの悪魔というプロパガンダを出した一つの理由はこれから戦場に行く兵士に罪悪感を無くす狙いがあったと読んだことがある。
— 民主国家の存亡危機 (@IQjpn55) 2018年1月5日
本当にエディ・マーフィーを尊敬していたら「似た格好をする」という「モノマネ」は失礼なんじゃないかな。「パクり」な訳だから。まぁ、黒人に憧れて、日焼けをするとかならばまだ分かるけど、してますかね? 彼らは日焼けを。
— kouzie (@kouzie01) 2018年1月5日
それに「黒塗り」が「ミンストレル・ショー」を思い起こさせる。ダメだ、というのは知っていて当然でしょう。2015年にももいろクローバーZとラッツ&スターでも問題になった。つまり「知らなかった」のではなくて、「知っていて行った」と考えた方が自然だと思います。
— kouzie (@kouzie01) 2018年1月5日
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「差別の意図はなかったんだから問題ない」「日本ばかりにイチャモン付けるな」などと強く反発しつつ、ここから学ぼうとも考えようとしない深刻な”思考停止”が蔓延
出典:Twitter(@bbcnewsjapan)
またまた、日本のテレビが色々とやらかしているみたいね!
私はガキ使は実際に観てないけど、上の画像の浜ちゃんのメイクを見ても、エディ・マーフィーを面白おかしく茶化して視聴者を笑わせようとしているようにしか見えないし、ネットで見かけるような「エディを尊敬してコスプレしただけ」「黒人が好きでコスプレして何が悪いのか?」みたいなコメントはトンチンカンにしか思えないわ。
こうしたメイクがことさらに問題視されるのは、上述されているように、かつてアメリカで行なわれていた、黒人を茶化して面白がる「ミンストレル・ショー」を彷彿とさせるからなんだ。
ボクもこの画像を見ても、とてもじゃないけど、真面目にエディ・マーフィーをリスペクトしてやっているようには思えないし、あくまで笑いを取るための”手段”として、こうした黒塗りメイクとコスプレを用いているようにしか見えない。
したがって、これを観た黒人の人々が強い不快感を持っても当然だと思うし、現代の時代は、インターネットを通じて世界中のあらゆる人種や文化、歴史を持つ人々がこうしたコンテンツに触れる機会があることも忘れてはならないだろう。
↓20世紀前半以前のアメリカで盛んに行なわれていた、黒人差別を伴った娯楽「ミンストレル・ショー」。
出典:世界の民謡・童謡
恥ずかしいけど、私もこんな娯楽が昔のアメリカにあったなんて知らなかったわ…。
黒人への差別は今でも欧米社会の目立たないところで存在しているみたいだし、「そんな事実を知らなかったんだから問題ない」「差別の意図はないから何をやっても問題ない」みたいな単純な問題じゃないわよね。
公共の電波を通じて日本国民、果ては世界の人々にコンテンツを配信することになる番組制作者は、やはり、最低限の教養や知識、やっていいことと良くないことなどの”分別”を持っておく必要がある。
なので、ただ単に「言いがかりを付けるな」で済む問題ではなく、これを機に日本のテレビの質やモラルを真摯に問い直す必要があるのは言うまでもないだろう。
ちなみに、黒人差別と同様に、欧米ではボクたち日本人をはじめとした黄色人種への差別も根強く存在している。
↓下のようなイメージを彼らの社会の中で流布しておいて、後に「決して悪気はなかった」「日本をリスペクトしてやったまで」「ただの軽いギャグだ」などと言われたらボクたちはどう感じるのか、考えてみることも必要かもしれないね。
出典:Twitter(@KO_SLANG)
出典:Twitter(@KO_SLANG)
下っ端芸人や女性など「力の弱い人々」をいたぶり、笑わせようとする番組も氾濫
ベッキー 禊のタイキック!!
これは痛そう#ガキの使いやあらへんで #笑ってはいけない #ベッキー pic.twitter.com/OxYhJvK3ac— 話題なう (@wada_now) 2018年1月1日
ガキ使みてたな。あれはもう笑えないよ。最初から最後まで暴力暴力で。ベッキーがタイキックされたのも、女性はこれから妊娠出産子育てするのに腰を痛めるとホンマきついよって思った。ただ、彼女はココリコ田中がタイキックされる過程に協力したわけやから、、やっぱり企画した奴がアカンね。
— カリーナ (@karinrin797) 2018年1月4日
ベッキーのタイキックやら、浜ちゃんのブラックフェイスはよくない。さらに言えば痛いことして笑いをとるテレビバラエティ全体が何とも言えない気持ちになる。
芸人を熱湯に放り込んで逃げ出すのを見て笑うとか。
なんで苦痛を見て笑わなあかんの? 笑ったらケツ叩かれるのの何が笑いなの?
— 木下建一郎@農業者/元自衛官/心理学修士 (@kinoken16) 2018年1月5日
ベッキーは不倫をしたから
タイキックされても仕方ないの?以前よりテレビに出ることが減ったから
我慢しなくちゃいけないの?一方的に暴力をふるっても許される理由なんて
存在しないと思うけど— えに (@kaerunbakurage) 2018年1月5日
さらに、この「ガキ使」では、ベッキーに対して「不倫への禊ぎ」と称しながら、キックボクサーが強烈なタイキックをお見舞いするシーンについても多くの批判が湧き起こっている。
ボクも上記のシーンは、あまりに痛々しくて観ていられなかったし、それを大笑いしている周りの芸人たちの反応にも非常に強い不快感を感じたけど、何もベッキーだけに限らず、今のテレビ界では、下っ端の芸人などに対して、ドッキリなどで騙しては落とし穴に落としたりケツバットを食らわせるなど、いわゆる「いじめ芸」で笑いを取るシーンが目立っており、観ていて嫌悪感を感じるケースが多い。
私も、ベッキーのシーンを動画で見たけど、一体何が面白いのかさっぱり分からなかったわ。
こうしたコンテンツがテレビに氾濫しているのも、いわゆる3S政策の一つなのかしら。
本来、人々の笑いを取るという行為は、非常に高度な創造力やパフォーマンス能力に加えて、多くの知識や教養が必要なものであるはずだ。
それが、近年のテレビを観ていると、日頃から劣悪なコンテンツを多く刷り込まれてきた日本国民の感性も鈍化しつつあり、それに応じてテレビにおいても、作り手の高い能力や教養を必要としないような、実に単純な暴力シーンや派手に痛がるリアクションだけで番組が成立してしまうような、非常に軽薄で安易な笑いを促すコンテンツが蔓延しつつある状況だ。
例えばチャップリンなどは、お笑いの中に戦争への怒りや権力への批判など、様々な「社会へのメッセージ」を込めて、ユーモアの中に社会貢献の意識が伴ったコンテンツを創造したけど、残念ながら、昨今の日本のバラエティ番組制作者の中に、そうした社会貢献の意識は微塵も感じられないのが実情だ。
このような質の悪い笑いのコンテンツを量産していけば、ますます日本国民の感性は鈍化・劣化していき、いじめやハラスメントを助長させることに繋がっていくだろうし、ほとんどこれらのコンテンツから社会にとって「プラスのもの」を生み出していくことはないだろう。
したがって、今回のように、世界で日本のテレビ番組が問題視され、多くの批判が噴出していることそのものをまずは真摯に受け止め、「この一件からボクたちは何を考え、学ぶべきなのか?」という視点で捉えていくことが必要なのではないだろうか。
確かに、今のテレビで放送されているお笑いは、いじめやハラスメントを連想されるようなものが多いわよね…。
こんなコンテンツを無抵抗に受け入れていけば、私たちの感性もますます劣化していってしまいそうだし、すでに、こうした批判の動きに骨髄反射的にただ反発して、「考えること」そのものを拒絶しているような人も続出しているわ。
すでに、こうしたコンテンツの弊害を受けてしまっている人が大勢いるみたいだし、とにかく、1%の資本家や軍産複合体配下のマスメディアのコンテンツに対しては、常に一定程度の距離感を保ち、疑いを持った視点で見ておくことが必要だということだね。
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