かつての自民党を象徴するような人物がまた一人…
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加藤紘一 自民党元幹事長 死去
自民党の元衆議院議員で、官房長官や党の幹事長など、政府や党の要職を歴任した加藤紘一氏が9日、東京都内の病院で肺炎のため亡くなりました。77歳でした。
加藤氏は、山形県鶴岡市出身で、東京大学を卒業後、外務省を経て、昭和47年の衆議院選挙で旧山形2区から立候補して初当選し、13回当選しました。この間、第2次中曽根改造内閣で、防衛庁長官として入閣し、その後も、宮沢内閣の官房長官や、党の幹事長、政務調査会長など、政府や党の要職を歴任しました。
自民党内では、総理・総裁の有力候補とされ、平成10年には派閥を宮沢元総理大臣から引き継ぎ、会長に就任しました。
かつての自民党の官房長官や幹事長など要職を務めた実力者、加藤紘一氏が77歳でこの世を去ったということだ。
普段の物腰はとっても静かな人だったけど、その行動は大胆不敵な一面もあり、個人的にその言動や考え方も割と共感できる部分も多い人だっただけに、この知らせを聞いて少しばかりショックだった。
まさに、かつての多様性と保守的な部分が同居していた自民党を象徴するような人物で、「古きよき自民党」を象徴するような政治家だったといえるだろう。
「加藤の乱」では権力争いに敗北、その後一気に力を失うことに
加藤さんといえば、いろいろあったけど、まず思い浮かぶのは自民党でも語り継がれている「加藤の乱」よね。
当時、今と比べて勢力争いが激しかった自民党だけど、2000年に世間を驚かせた小渕総理の突然の死によって、密室での談合で森新総理が誕生。
ところが、当時の森政権は、(当時はメディアがまたその機能を果たしていたのもあり)様々な失言などもあいまって支持率が激減。
それに伴い、野党が内閣不信任決議案を出した際に、加藤氏は盟友の山崎拓氏とともに野党側に回り、森内閣を失脚させようと目論んだものの、結局これが失敗に。
このような混乱が原因となって、森内閣は終焉し、小泉内閣が樹立していくことになるんだけど、これを機に加藤氏の勢力は一気に落ちていくことに。
結局彼の再浮上はなく、政治家引退後、静かな余生を送っていたみたいだけど、言論活動としてしんぶん赤旗に寄稿し、安倍政権の集団的自衛権などについて「徴兵制に向かう危険性がある」など、度々現政権への警戒感と批判を行なっていたようだ。
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靖国発言が発端になって、自宅が放火、全焼する事態に
そしてもう一つ忘れられないのは、何といっても、加藤さんの家が右翼団体幹部に放火・全焼させれた事件よね。
これは2006年に発生した事件で、当時の小泉総理が靖国神社の参拝を行なったことに対して、加藤氏が小泉氏を批判。
これに腹を立てた右翼団体の人間が加藤氏の実家に侵入し、ガソリンをまいた上で自らも包丁で腹を切り自殺未遂。
幸い、加藤氏や家族はその場にいなかったため無事だったものの、自宅に隣接した事務所が全焼し、犯人の男は放火罪と住居侵入罪で逮捕された。
この時は、世間では加藤氏に同情的な声が多く集まったものだけど、果たして今はどうなのかな?
「放火はいけないが靖国を批判した時点で自業自得!」なんていう論調が大量に発生しそうで、ちょっと怖いね。
かつての自民党は、マスメディアの批判も甘んじて受け、護憲や国民の安全を保障する姿勢だけは崩そうとしなかった
確かに、加藤氏が全盛だった頃の自民党は、利権政治や天下りなど、良くない部分もたくさんあったけど、それでも民主主義の「最後の砦」は崩そうとはしなかった。
”記者クラブ制度”という、メディアによる「ムラ社会制度」は昔からあるけど、それでも、かつての自民党の政治家は、「メディアへの圧力」という”最後の一線”には踏む込むことはせず、不正や国民無視の政治を行なえば、マスメディアからの痛烈な攻撃や追及を甘んじて受けていた。
さらには、アメリカから軍事的な協力を強く迫られても、日本国憲法を盾に、「資金援助」のみでなんとかカタをつけてきた。
そういう意味では、民主主義の原則を理解し、法治国家の概念を忘れずに政治を行なっていた部分で、ボクはある程度当時の自民党の政治家たちを評価している。
その姿が少しずつ崩れてきたのが小泉政権であり、民主党政権を間に挟んで、安倍政権になってからというもの、自民党の姿がまるで「別の政党」のようにまるっきり変貌してしまった。
法治国家の概念もほとんど理解しておらず、憲法までをも軽視するその姿勢は、今までの戦後の日本政治で例がなかったもので、こんな安倍政権がかつてなかったほどに絶大な権力を一極に集中させているこの現状は、ボクは非常に警戒しているよ。
なんせ、自民党内でもこれに待ったをかけるような「対抗派閥」や「抵抗勢力」が全くなくなってしまったものね。
新人議員も、そもそも政治とは何かも分かっていないような人や、「YES!」しか言わない、いてもいなくても関係ないような議員で占められているのも問題だわ。
そう、数だけはものすごいことになっているけど、その大多数は自分の意見も持たずにただ「はいはい」と聞き分けのいい議員ばかりみたいだからね。
この加藤氏逝去のニュースは、かつての穏健で優しさのあった自民党時代を思わず回顧してしまうと同時に、この先の自民党の行く先を余計に危惧してしまうような気分にさせられてしまったね…。
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