こんにちは、管理人です。
人気(?)の音楽コーナー、今回はロシアの後期ロマン派から近代に活躍した大作曲家・ラフマニノフの不朽の名曲、ピアノ協奏曲第2番を特集したいと思います。
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わたし、実はラフマニノフ大好きなんです!
繊細でロマンチックでもあり、大胆で壮大でもあり、なんといっても一度聞いたら忘れないくらいの美しいメロディが、色々な場面に盛り込まれているんですよね。
屈指のメロディメーカーなのは、同じロシアの作曲家であるチャイコフスキーも同様だけど、チャイコフスキーは激情的で自身の感情を素直に表現している部分が多いのに対して、ラフマニノフは少し俯瞰的で理性的な要素が若干多いような気がするな。
これはボクの個人的な感想だけどね。
わたしも、クラシック音楽は完全素人だけど、ラフマニノフは名前を聞いたことがあるわ!
ピアノ曲が特に有名なのよね。
ああ。一流のピアニストとして世界中で活躍した他、作曲家としても本格的な作品を数多く残して、ピアノ独奏曲や協奏曲の他にも、交響曲や声楽曲、あまり演奏はされないもののオペラも残しているんだ。
セルゲイ・ラフマニノフ(ロシア-アメリカ 1873-1943)
ピアニストとして世界中に名を馳せ、特に2メートル近い長身と大きな手に加え、非常に柔軟な関節を持ち合わせていて、普通の人が弾けないような特殊奏法をいとも簡単に弾きこなしたという。
作曲家・指揮者としても大きな功績を残し、3曲の交響曲、4曲のピアノ協奏曲、ピアノ独奏曲や、声楽曲、オペラなど、幅広いジャンルの曲を残した。
代表曲は、ピアノ協奏曲第2番、第3番、交響曲第2番、パガニーニの主題による狂詩曲、ヴォカリーズなど。
ええ!こんなカラー写真も残されているなんて、意外だわ。
思ったよりも新しい時代まで活躍していたのね。
没したのが1943年だから、ちょうどカラー写真が出始めた頃だったのかな?
こんなラフマニノフの代表曲でもあり、フィギュアスケートでよく使われたり、クラシック音楽屈指の人気曲でもあるピアノ協奏曲第2番だけど・・・実は、この曲はラフマニノフ本人にとって、個人的に計り知れないくらいに大きな意味を持つ曲になったんだ。
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繊細な心を持つラフマニノフを襲った「大事件」とは?
2メートル近くの長身という誰もが驚くような大男だったラフマニノフだけど、実は心の中は誰よりも繊細かつ真面目で、かなりの人見知りでもあったようだ。
それでも音楽的な才能は相当な物で、非常に豊かな感受性と先見性を持っていたんだけど、彼が作曲家として駆け出したばかりだった頃、それが仇となってしまう大きな「事件」が起きてしまうんだ。
えっ!?駆け出しだったラフマニノフに一体どんな事件が起こったのかしら?
それが、後世にも語り継がれている、交響曲第1番の初演の記録的な「大失敗」です。
この交響曲第1番は、若きラフマニノフの感受性と冒険心、先見性が凝縮された、とっても魅力的な作品だったのですが・・・指揮者を務めたグラズノフが二日酔いだったという説もあり、結果、会場に多くの怒号が飛び交い、この初演を聴いた評論家も、これ以上ない痛烈な批判を彼に浴びせたそうです。
例えばこんな風に・・・。
「破綻したリズム」「不明瞭で漠然とした形式」「同じ身近な技法の無意味な繰り返し」「管弦楽の鼻にかかった音」「低音の曲解された崩壊」に「作品全てに覆う病的にひねくれたハーモニー」と「メロディックとは似て非なるアウトライン」「単純さと自然さの完全ある欠如」「テーマの完全なる欠如」【ウィキペディア】
これがきっかけになって、ラフマニノフは極度の心神喪失のうつ状態になってしまったんです。
ちょ・・・自分の曲にこんな事を言われたら、そりゃ誰でも凹んじゃうわっ!
現在では交響曲第1番もたまに演奏されるし、正直言って、どうしてこの作品がここまで言われなきゃいけないのがよく分からんのだけど(ボクはある意味ラフマニノフの中での最高傑作だと思っているよ。)、確かに内容をすぐに理解するのがなかなか難しいほどに先鋭的な曲なんだけど、まあよほど初演のグラズノフの指揮がめちゃくちゃだったということかな?
とにかくこの初演を経験したラフマニノフの落ち込み方は相当な物で、このトラウマをきっかけに、曲を作ることもできないほどに心神喪失状態に陥ってしまうんだ。
本人が繊細で優しい心の持ち主だからこそ、かなりこたえたのね。
なんかちょっとかわいそうだわ・・・。
ラフマニノフになんとか立ち直ってほしいと思った友人が、ある心理学の専門医にラフマニノフを会わせて、そこで催眠療法を受けるんだけど、幸運なことにこれが効果をもたらして、少しづつ心が前向きになりはじめるんだ。
その中で彼は、作曲家として交響曲第1番の失敗のリベンジを果たそうと、必死の思いでペンを取り始めた。
作曲中にも何度も困難があったみたいだけど、交響曲第1番の初演の4年後の1901年に、まさに色々な思いを込めたピアノ協奏曲第2番を完成させるんだ。
そ、それで、その問題の初演は一体どうなったの!?
気になる運命の初演は、本人も驚くほどの大成功!
聴衆の惜しみない大喝采を受けたラフマニノフは、ずっと苦しめられてきたうつ病から抜け出し、旺盛な創作意欲を取り戻すことができたんです。
ほんと!?良かったあ!
一生懸命作った甲斐があって、ようやく本人もトラウマと苦悩から救われたのね。
この曲を聴いていると、確かに、お客さんを喜ばせるツボを至るところに忍ばせているのがよく分かる。
演奏時間も約35分と、長すぎず短すぎず絶妙なのもあるし、そんな手ごろな長さの中に、一切の無駄なく様々なドラマが凝縮されているし、さらに、「苦悩から喜びへ」・・・という展開の仕方も、お客さんが喜ぶ鉄板パターンだ。
それでは、簡単に楽章ごとの解説と聴き所を紹介しよう。
第1楽章:教会の鐘の音をリアルに模した冒頭に注目
冒頭からいきなり白眉なのが、ロシア正教会の鐘の音を模したピアノソロだ。
重厚な響きと、微妙な変化を伴った和音の繰り返しは、従来のピアノ協奏曲の常識を覆した秀逸なアイディアといえる。
全体的に暗く悲壮感漂う雰囲気に支配されるけど、ピアノソロの第2主題などは、とてもロマンチックで夢見るような優しさに包まれているよ。
第2楽章:ロマンチックの極地と言える美しい音楽と情熱的なカデンツァ
第2楽章は、誰もがうっとりと聴き入ってしまうほどの女性的で天国的な音楽だ。
終始、優しい雰囲気に支配されるけど、徐々に抑揚的になった後に突然訪れる情熱的なピアノのカデンツァ(技巧的な要素を披露するソロ部分)に驚く人も多いかもしれない。
やがて徐々に落ち着き、再び愛に満ちた音楽が戻ってくるけど、この急激に変化する楽想のコントラストを楽しむのもいいと思うよ。
第3楽章:クールで技巧的な主部から大いなる喜びに満ちたフィナーレへ
ユニークさとクールさを兼ね備えた第3楽章も聴き所満載だ。
ピアノの技巧も存分に堪能できるし、コーダに向かっていくまでの推進力も聴いていてテンションが上がってくる。
そして、最大の圧巻はコーダ(終結部)だ。
大河のような悠々たる楽想が展開された後、一気にテンポアップし、フィナーレまで駆け抜けていく。
最後はラフマニノフお得意の「ジャンジャジャジャン!」の啖呵で、気分は最高潮!
これほどまでに、聴き手に快感と喜びを与えてくれる音楽は無いかもしれない。まさに、聴き終わった後は、一流シェフのフルコース料理をお腹一杯に食べたような気分だ。
なんか、話を聞いているだけで、わたしもテンションが上がってきちゃったわ!
つまり、隅々までお客さんが喜ぶことを計算し尽くされた曲ってことね。
ああ、その通りだ。
これはちょっと皮肉なことだけど、ラフマニノフは、交響曲第1番では自己の表現世界をひたすら追求したんだけど、これでは作曲家としてはやっていけないと感じたのかもしれない。
そこで、お客さんが喜ぶ音楽とはどんなものなのか?を深く考え、それを見事に体現させたのがこのピアノ協奏曲第2番だったんだな。
確かに、交響曲第1番とこの曲は、同じ人の曲とは思えないほどに全く違った世界観だ。
こんな器用さを持っているのもラフマニノフの素晴らしい能力の一つだけど、(以前にどこかのブログで見かけた例えなんだけど)いわば”芸術家”として生きることをやめて、”芸人”として生きることを選んだ・・・とも言える分岐点となったのがこの曲だったのかもしれない。
(この先のラフマニノフの音楽は、いずれも基本的に『聴衆受け主体』路線を継承したものとなっているよ。)
そっかぁ・・・なるほどね。
音楽家としてどうあるべきかを本人なりに悩んで、その結果生み出されたのが、この曲だった、ということかしら。
それでも、この曲は不朽の名曲であることには変わりありませんし、私はこの曲何より大好きですからね。
ボクも、この曲以降の作品も交響曲第1番も、どっちのラフマニノフもとっても大好きだよ。
最後に、この曲の全曲動画を貼っておくので、みんなもラフマニノフやこの曲の魅力を味わってもらえたら嬉しいです。
ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」の全曲視聴はこちら
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