従来のマエストロの概念を変えた指揮者、パーヴォ・ヤルヴィ
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ちょっと久しぶりになった音楽系のコーナーだけど、今回は、NHK交響楽団との新しいコンビでもすっかりお馴染みになった、エストニア出身のマエストロ、パーヴォ・ヤルヴィについて紹介していこうかと思うよ。
パーヴォ・ヤルヴィさんですか!
私も、常にスマートでなおかつエネルギッシュな演奏を聴かせてくれるので、とても大好きな指揮者です。
日本だけでなく、世界的にますます評価が高まってきているパーヴォだけど、まずは簡単にプロフィールを紹介していこう。
パーヴォ・ヤルヴィは1962年生まれの東欧エストニア出身で、現在アメリカ国籍を持つ指揮者だ。
父親は、現在も活躍している名指揮者ネーメ・ヤルヴィで、さらにパーヴォの弟のクリスチャン・ヤルヴィも指揮者という、まさにエリート音楽一家だ。
父親の影響で幼い頃から音楽に親しみ、父親と交流があったソ連の大作曲家ショスタコーヴィチとも、子供時代に触れ合ったこともあったそうだ。
やがて、息子パーヴォも指揮者を志すようになり、ロサンジェルス・フィルハーモニック音楽学校に入学後、かの大指揮者で作曲家のバーンスタインに教えを受け、その他、オーマンディやショルティなどの名だたる指揮者にも師事し、指揮の極意を学ぶことに。
デビュー後は、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルをはじめ、バイエルン放送、ロイヤル・コンセルトへボウ、ニューヨーク・フィルなど世界中の一流オーケストラを指揮し、多くの名演とともに高評価を受けることに。
日本のオーケストラとも精力的に共演し、なんといっても、2015年にNHK交響楽団の主席指揮者に就任したことが大きな話題になったことは記憶に新しい。
以後、N響とは歴史的な名演を次々残しており、ますます今後の活躍が期待されている中堅指揮者だ。
出典:NAVERまとめ
見た目もとってもダンディで、なおかつとってもフレンドリーで飾らない人柄なんですよね。
こうした団員とのコミュニケーションを重視しているようなところも、「新しい形のマエストロ」と言われているゆえんですよね。
そうだな。昔のマエストロと言えば、どちらかというとちょっとお堅くて、軍隊的なノリの独裁者のような指揮者も多くいたからね。
それじゃ、色々な意味で近年注目度がますます増してきているパーヴォの特徴や魅力について、詳しく解説していこう。
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パーヴォ・ヤルヴィの魅力その1:幅広いレパートリー
パーヴォの魅力として真っ先に思いつくのは、その豊富なレパートリーだ。
彼が特に得意とする音楽は、シベリウスやニールセンなどの北欧の音楽や、後期ロマン派の大規模なオーケストラ曲が挙げられるけど、実は、モーツァルトやベートーヴェンのような古典派や、シューマンなどの初期のロマン派、そして現代音楽まで、そのレパートリーは実に多彩だ。
また、後期ロマン派の大作曲家といえば、ブルックナーやマーラーが筆頭に挙げられるけど、この両方の作曲家の作品をどちらも得意とし、精力的に取り組んでいる指揮者は実はあまりいない。
これら様式が全く異なる作曲家たちの音楽を、一種の統一性を持ちながら、彼独自の信念やスタイルを貫き、時に柔軟に、時に剛健に音楽にアプローチし、丹念に音を作っていく様は、見事と言う他ないだろう。
こうした全体的に偏りなく、あらゆる音楽と対峙し、真摯に団員たちと音楽を作り上げていくその姿勢こそ、彼の大きな魅力の一つと言えるだろう。
パーヴォ・ヤルヴィの魅力その2:スマートでクールなタクトさばき
彼の指揮ぶりは、実に無駄なく、なおかつ繊細でカッコがよく、ビジュアル的にも実に映えるものがある。
その彼の巧みなタクトさばきの様子は、N響とのコンサートの映像を観ればとてもよく分かるよ。
指揮者によっては、団員が慣れるまでなかなか合わせるのが難しいケースもあるし、実際あんまり指揮棒さばきが上手くない人もいるんだけど…彼の場合、団員を見ていると、いかに彼の指揮振りが非常に明快で、分かりやすいものであるかがとてもよく分かるよ。
まだN響とのコンビも1年足らずだけど、こうした巧みな指揮のテクニックから、早くも団員たちが彼の指揮に全幅の信頼を寄せていることが見てとれるね。
パーヴォ・ヤルヴィの魅力その3:奇をてらい過ぎず、なおかつ独自のカラーも失わない、絶妙なバランス感覚
出典:NAVERまとめ
指揮者の重要な資質といえば、作曲家の意図や音楽に込めた思いを深く読み取り、音楽に真摯に向き合うことが挙げられるけど、彼の音楽は、作曲家が残した音楽の本質を存分に引き出しながら、なおかつ、独自のカラーや表現もしっかりと混ぜ込んでくる、その”バランス感覚”が実に見事だ。
指揮者の中には、作曲家が残した音楽に大幅に手を入れてしまうタイプもいたり、時には個人的な趣味やエッセンスを入れすぎてしまうことで、曲本来の持ち味が損なわれてしまうこともあるけど、彼の場合、決してそういう過激なことはしようとはしない。
しかしながら、そうすると、実にストイックな方向に向かい、時には堅すぎる演奏になりそうなところ、実に絶妙に、独自の音楽観やメッセージをさりげなく織り込んでくる。
こうした優れた「バランス感覚」を持ち合わせることは、実は一番難しかったりするので、そういう意味では彼は非常に稀有で貴重な才能を持った指揮者であるといえると思うよ。
(特に、彼のそんな持ち味が最もよく出たのが、個人的に少し前にN響と演奏したブルックナーの交響曲第5番だったように思う。)
パーヴォ・ヤルヴィの魅力その4:見た目はクールだけど、飾らないフレンドリーなキャラクター
彼の見た目はちょっとプーチンに似た雰囲気のコワモテのナイスガイだけど、そのキャラは実はとてもフレンドリーで、とても謙虚なんだ。
世界をまたに掛けて活躍する巨匠とは思えないくらいに、団員一人一人に対して、真摯に向き合い、こまめにコミュニケーションを重ね、団員たちの飲み会にも積極的に顔を出すくらいに、スタッフや団員たちと分け隔てなく交流を行なっているようだ。
また、N響の主席指揮者に就任したのを機に、積極的に自身がテレビにも登場し、若者たちと対談を行なったり、クラシックにあまり馴染みがない人たちに対しても、積極的に普及と啓発活動を行なっているみたいだ。
さらに、彼はインターネットを駆使して、ツイッターなどのネットコンテンツも積極的に発信していて、自分撮りの写真や日記などをたくさん投稿しているようだ。
(本人も色々な場面で、プーチンに似ているのをギャグにしているみたいだぞ・笑)
こうした「親しみやすさ」や「謙虚さ」を前面に出して、時代の最先端の技術を積極的に取り入れつつ、多くの人とのコミュニケーションを重視したスタイルも、「新時代のマエストロ」といわれるゆえんなのかもね。
↓パーヴォのツイッター。N響コンサートマスターの篠崎氏(通称マロ)との2ショットも。
出典:Twitter(Paavo Jarvi)
まとめ
パーヴォ・ヤルヴィさん、知れば知るほどとっても魅力的な人ですね。
私もますます彼と、彼の音楽に興味が湧いてきました。
彼の音楽は、聴き手を感動させるべく、細部まで計算され尽くした繊細さと、音楽に対する情熱と力強さが同居し、実に多くの魅力が凝縮された唯一無二のものだ。
これからも、その彼の音楽により磨きがかかっていくことを期待するとともに、後世に語り継がれていくような不朽の名演を心から楽しみにしているよ。
最後に、彼の演奏による動画を紹介して、このコーナーを閉じるとしよう。
(N響との相性も前述のようにバッチリみたいから、この先もとっても楽しみだね。)
シューマン:交響曲第3番「ライン」(パーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団)
シベリウス:交響詩「フィンランディア」から(パーヴォ・ヤルヴィ指揮、エストニア国立交響楽団)
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