このコーナーの2回目は、クラシック音楽界でもひときわ異彩と存在感を放つ、この曲を紹介したいと思います。そして、今回はレギュラーの梨乃ちゃん以外にもう一人来てくれました★
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わたし、クラシック音楽にそんな詳しくないけど、いいのかしら?
OKOK♪むしろ、そんな人の素直な感想や意見も聞いてみたいからね。それじゃ、梨乃ちゃん、この曲の簡単な解説をよろしく。
はい!この曲は、フランスの初期ロマン派の作曲家・ベルリオーズによって、1930年に書かれた交響曲です。現在ではベルリオーズといえばこの曲!というくらいに、演奏会でも頻繁に演奏されていますよね。
エクトル・ベルリオーズ(1803-1869・フランス)
フランス初期ロマン派を代表する作曲家。当時の音楽様式から大きく逸脱した先進的な作曲技法やオーケストレーションを編み出し、特に当時の常識からは考えられなかったほどのオーケストラの巨大化を推し進め、大音量の音楽表現にこだわった。
彼のセンセーショナルな作曲技術は後の多くの作曲家に多大なる影響を与え、後のワーグナーやマーラーなどの大規模オーケストラ作品の先駆者的存在となった。
代表作は「幻想交響曲」、序曲「ローマの謝肉祭」、「ファウストのごう罰」、「レクイエム」など。
今や、オーケストラの標準レパートリーとなった幻想交響曲だけど、その中身はとにかく革新的で、ぶっ飛んでいて、それでいてかなり危険でクレイジーな内容になっているんだ。
くっ、クレイジー、ですって?ど、どの辺が?
とにかく何から何まで特徴的なんだけど、まずはその曲のストーリーだ。
「好きな女性に振られた主人公の男性が自暴自棄になってアヘン(麻薬)を吸い、そのせいで様々な幻覚を見て狂っていく…」という物語を曲で表現しているんだよ。
んな!?そ、それは、確かにかなりクレイジーだわ!
その幻覚の内容がまたスゴくて、「途中で振られた女性を殺してしまって、その後自分も断頭台で首を切られ、最後は好きだった女性と一緒に亡霊になって、妖怪たちと一緒に踊りまくる…」っていう内容なんだよ。いやあ怖い怖い。
いやああん!クレイジーだわ!あまりにクレイジーだわあ!
こんな衝撃的でグロテスクな内容と音楽なのにもかかわらず、これがベートーヴェンが第9を初演したたったの6年後に書かれているというのも、信じられない事実だ。改めてこの曲を聴いても、60年・70年後に書かれたものと錯覚してしまうほどで、いかにベルリオーズが時代を先取りしていた予見的な作曲家だったのかがよく分かる作品となっている。
それでは、早速、この曲の詳しい内容と見どころを紹介していこう。
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第1楽章:夢と情熱
そんな凄まじい作品も、最初はノーマルで楽しげな雰囲気で始まるよ。第1楽章は、主人公の男性の片思いの女性に対する燃え上がるような恋心や喜びを表現しているんだ。
この曲で大きなポイントになるメロディがあるんだけど、これを聴いてみてほしい。
な、なんか、楽しそうな雰囲気のメロディね!
これは、主人公が恋心を抱いているヒロインを表しているテーマなんだ。なんとなく、楽しげでウキウキするような雰囲気だろ?最初はこんな感じでこのメロディが提示されるんだけど、このメロディがこの先、曲の最後まで色々なテイストに装飾されたり変えられてたくさん登場してくるのが、一つの注目ポイントだ。
ベルリオーズらしく、途中で猪突猛進になりかかって、変なテンションになったりするところもあるけど、基本的に楽しい雰囲気で第1楽章は幕を閉じるよ。
第2楽章:舞踏会
今度は華やかな舞踏会が曲の舞台だ。
主人公は愛する女性と舞踏会で再び出会い、その美しい姿に心を奪われるんだけど、その描写をさっき聴いてもらったヒロインのテーマを使って実に上手く表現している。CMでも使われたことがある、とても印象的で美しく優雅なワルツだ。
ここまでは、楽しく流麗な世界が展開されるけど、次の楽章から、少しずつ雲行きが怪しくなってくるよ。
第3楽章:野の風景
舞台は変わって、主人公が草原に一人たたずんでいるシーンだ。ここでも彼女のことを思い出し、何故だかふいに強い不安に襲われる。徐々に主人公の心が何かにかき回され、おかしくなり始めてくるのが伝わってくる音楽だ。オーボエを舞台裏で吹かせたり、4人のティンパニ奏者が雷鳴を表現したり、かなり先鋭的で斬新な演出をしているのも注目だね。
第4楽章:断頭台への行進
悪い予感は的中し、ついにおかしくなってしまった主人公は片思いの彼女を殺してしまう。そして、主人公もその罰から処刑されることとなり、大衆の面前で断頭台に登らされる。見物人たちが面白おかしく騒ぎ立てる中、ついにギロチンが落とされ、主人公の首が飛ぶ。
音楽では、二台のティンパニが荒れ狂い、ギロチンが落ちる直前に、ヒロインの旋律が一瞬だけ鳴るところが最大の聴き所。でも、そのメロディも一発の打撃音にかき消され、首が転がる様子は弦楽器のピチカートで再現される。かなりグロテスクだけど、演奏効果抜群のベルリオーズの真骨頂とも言える音楽だ。
第5楽章:ワルプルギスの夜の夢
第4楽章で死んでしまった主人公は、今度は亡霊となって登場する。妖怪達に葬儀をしてもらう主人公の元に、グロテスクな姿に変わってしまった彼女の亡霊もやってくる。妖怪となって結ばれることとなった主人公と彼女は、様々なうめき声を上げる悪魔達とともにいつまでも一緒に踊り続けるところで曲は終わる。
ヒロインのテーマはほとんど原型を留めることなく、小クラリネットで踊り狂ったように登場し、鐘や2本のチューバ、二台の大太鼓と金管の大騒ぎでやりたい放題。悪魔達と踊り明かす亡霊となった二人の狂演を表現した音楽は、これでもかというほどの全楽器の大騒ぎで曲を閉じる。改めて解説しても、本当にスゴイ曲だなこりゃ。
んもおおお!この曲、ほとんどめくちゃだわ~!しかもなんていうエンディングなのぉ!!
しかも、この主人公、ベルリオーズ自身を表しているという説がとっても有力なんです。それどころか、ベルリオーズ自身もアヘンを吸った状態で作ったという話すらあるんですよ。
マジでえええ!?もうこの人絶対おかしいわよぉおお!
だからこそ、普通の人が思いつかないようなトンデモ作品が誕生したのかもしれないな。
とにかく、音楽史上に残る伝説的な作品であることには変わりないから、これを機にあおいちゃんも一度聴いてみるといいと思うよ!
う・・・うん、、ちょ、ちょっと、聴いてみたくなってきた気もするわ。。
幻想交響曲聴き比べ
第5楽章「ワルプルギスの夜の夢」
レナード・バーンスタイン指揮、Orchestre National de France
全曲はこちら!
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